はじめに
日々の暮らしの中で、私たちはさまざまな出来事に出会います。
そのたびに、心の中で「これは良い」「あれは悪い」「これは正しい」「それは間違っている」と、自然に判断してしまっていることに気づいたことはあるでしょうか。
私たちの思考には、物事を二つの側面に分けて捉える癖があります。
善か悪か、正か誤か、光か闇か──。
このような対立的な視点は、世界を分かりやすく整理するには役立ちますが、
同時に私たちの思考や感情に大きな影響を与え、知らぬ間に心の自由を狭めていることもあります。
本記事では、「マリアトリニティ」という思想を手がかりに、「二元論的な思考」を超えて世界を捉える視点について掘り下げていきます。
その視点がもたらすのは、他者への見方や自分自身への関わり方を、もっと優しく、もっと自由なものへと変えていく可能性です。
↓関連記事↓
無意識に働く「二元論的ジャッジ」のクセ
人は物事を理解するとき、つい「どちらが正しいか」「どちらが良いか」といった
二つの側面に分けて判断するクセを持っています。
これは私たちの思考に備わった、ある意味とても自然な機能です。
たとえば「危険か安全か」「損か得か」を即座に判断することで、生命を守るための反応を促すからです。
けれども、この便利な分類のクセが、いつの間にか私たちの感情や人間関係にまで入り込んでしまっているとしたらどうでしょうか。
- 誰かの言動を見て「間違っている」と感じる
- 自分の失敗を「悪いこと」として強く責めてしまう
このとき、私たちは世界を「正か誤か」「善か悪か」という二項のどちらかに当てはめようとする見方にとらわれています。
現実の世界はもっと複雑で、多層的です。
完全に「正しい」ことも、「間違っている」ことも実は少ない。
ある出来事は見る角度によってまったく違った意味を持ちます。
「正しさ」に固執することで、柔軟な見方や多様な価値観を排除してしまう危うさもあるのです。
このジャッジの癖は、他人だけでなく自分自身にも向けられます。
- 自分の中にある未熟さや矛盾、弱さを「悪いもの」として切り離そうとする
- 否定された側面は、内側に押し込まれ、本来の感情や思考の流れにブロックをつくってしまう
こうした無意識のジャッジが、私たちの心の奥に緊張や不自由さを生む原因になっているのです。
世界は調和で成り立っているという視点
私たちが日常で直面する出来事の多くは、善悪や正誤では簡単に割り切れません。
それぞれの背景や理由、関わる人々の思いが複雑に絡み合っているからです。
「マリアトリニティ」という思想は、世界を「対立」ではなく「調和」を前提とした視点で捉え直そうとするものです。
善と悪、光と闇、成功と失敗──
それぞれが全体の中で意味と役割を持って存在している。
たとえば衝突や葛藤も、それ自体が悪いわけではなく、「より深い理解」や「本心に気づく機会」につながることがあります。
このような視点は、私たちを「対立」から「つながり」へと導いてくれます。
- あらゆる出来事や感情、経験に意味がある
- 他者への理解も、自分へのまなざしも、ぐっと優しくなる
大切なのは、「どちらが正しいか？」ではなく「どうすれば全体が調和するか？」という問い。
この意識のシフトが、心に安心とゆとりを生み、対立と思っていた出来事の中に学びや理解の種があることに気づかせてくれるのです。
ジャッジを超える実践と自己受容
私たちは日々、無意識に「これは良い」「あれは悪い」と評価しています。
それは思考の癖であり、すぐにやめることは難しいかもしれません。
しかし、その癖に気づくことから、少しずつ自由が生まれます。
例えば…
- 出来事が起きたとき「本当にこれは悪いこと？」と一度立ち止まる
- 「この出来事は何を伝えようとしているのか？」と問い直す
こうした問いは、善悪・正誤の二項から距離をとり、状況全体をやわらかく見渡す感覚を育ててくれます。
自分に対しても同じです。
- 「うまくいかなかった＝ダメ」ではなく
- 「それも必要な経験だったのかもしれない」と見直してみる
これにより、内側の緊張がほどけ、思考や感情の流れが自然になっていきます。
ジャッジを手放すとは、何でも受け入れることではなく、「どんな自分であっても見放さない」という姿勢を育てていくこと。
それは「自己肯定」ではなく、「自己受容」に近い感覚です。
二元論を超えると、何が変わるのか
「良いか悪いか」「正しいか間違っているか」といった癖を手放していくと、日々の出来事への反応が変化していきます。
- 「これは嫌なこと」→「何が起きているのか、どんな意味があるのか」
- 「あの人が悪い」→「自分はなぜそこに反応したのか」
表面的な対立を超えた理解と、柔らかいつながりが生まれてきます。
自分自身へのまなざしも変わっていきます。
- 「失敗＝未熟」ではなく
- 「揺らぎも自分にとって必要な経験だった」と思える
すると、多少の揺れがあっても自己信頼が揺らがなくなるのです。
他者との関係性も、ラベルや分類から離れていきます。
- 「好き・嫌い」ではなく、その人の背景を想像する
- 違う意見の中にも響き合える部分を見つけようとする
世界が「敵と戦う場所」から「自分の本質に目覚め、他者と響き合う場」へと変わっていきます。
おわりに
私たちが何気なく行っている「ジャッジ」は、日常のあらゆる場面に潜んでいます。
それは自然な働きですが、そこに「気づくこと」で、世界の見え方は少しずつ変わっていきます。
善悪や正誤だけでは捉えきれない、現実の奥行き。
そこに気づいたとき、見えてくるものがあります。
- 「敵」だと思っていたものの中に学びを見出す
- 自分を切り離さない、他者を裁かない
そんな在り方が、少しずつ広がっていけば、世界はもっとやわらかく、調和に満ちたものになっていくはずです。
まずは自分の内側から。
ほんの少しだけ、出来事への見方を変えてみる。
そこから始まる変化が、
あなた自身の人生にも、周囲の世界にも、新しい風を吹き込んでくれるはずです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。関連した以下の記事も見ていただければ幸いです。
↓関連記事↓
コメント