耕作放棄地を整備して始めた自然農。
2年目の春、畑に立ったとき、私はある“静かな変化”に気づきました。
それは、雑草の種類が変わっていたということ。
自然農を始めて間もない方や、草との付き合い方に迷っている方にとっても、
この変化はとても大切なサインになるかもしれません。
自然農2年目の春、畑に立って気づいた“草の変化”
昨年の春、私の畑にはススキやチガヤなどイネ科の強い草がびっしりと生い茂っていました。
長年放置されていた耕作放棄地だったため、地面は硬く締まり、草の根が深く張っていて作業も一苦労でした。
そこで1年目、私はイネ科の雑草を刈り、それを草マルチとしてそのまま畝にかぶせておくことにしました。
この作業を通して、土の乾燥や過剰な草の再発を防ぎながら、土壌環境がやわらかくなる感覚を実感できました。
結果として、今年の春の草の変化にもつながったように思います。
これは、荒地から自然農を始める方にとってとても有効な実践作業だと感じており、ぜひおすすめしたい方法です。
そして迎えた2年目、今年の春。
畑に立ってみると、そこにはホトケノザやオオイヌノフグリといったやわらかな草が一面に広がっていたのです。
小さな花が咲き、色とりどりに畑を彩るような風景。
この変化が何を意味するのか、自分なりに観察しながら考えてみました。

雑草の種類が教えてくれた、土の状態のちがい
草は、土の状態に応じて生えてくる種類が変わります。
これは自然農における草の見方の大きな特徴でもあります。
昨年多かった草は、いわば“荒れ地タイプ”。
セイタカアワダチソウやススキ、チガヤなど、地下茎でどんどん広がり、他の植物の成長を妨げる強い草たちでした。
これらが多い土は、硬く酸性に傾いていたり、微生物環境が整っていない可能性があります。
それに対して、今年見られるホトケノザやオオイヌノフグリは、地を這うように生えるやさしい草たち。
土に空気や水が通り、微生物が活動しやすくなってきた証拠かもしれません。
自然農では雑草も共存相手|草から読み解く土壌のサイン
自然農では、雑草をただ抜くのではなく、「共に生きる存在」として見ます。
草は、今の土の状態を教えてくれる“代弁者”のような存在です。
参考リンク:雑草と土の関係をもっと深く学びたい方へ
自然農の実践者・そーやんさんによる解説動画は、そんな視点をわかりやすく教えてくれます。
▶︎ 生えてる雑草で土壌診断!肥沃な土を好む雑草とは?
耕さず、肥料を加えず、時間をかけて土の力を引き出す自然農では、
草の変化が唯一のヒントになることもあります。
ホトケノザやオオイヌノフグリが畑を彩り始めた今、私は「この土も少しずつ変わってきたんだな」と実感しました。
去年は理解しきれなかった「耕さずとも土は耕されていく」という言葉の意味が、少しずつ腑に落ちてきました。
花が咲く畑へ|ホトケノザやオオイヌノフグリが伝える兆し
花が咲けば、虫が訪れます。
虫がいれば、鳥もやってきます。
去年までは生きものの気配が薄かった畑に、今年はたくさんの小さな命が集まりはじめました。
ホトケノザやオオイヌノフグリが咲いている風景は、単に“雑草が増えた”というだけでなく、
命がめぐる場所としての畑に、場の力が戻りつつあることを示しているように思います。
草の変化を観察する|自然農の楽しみ方と学び
自然農 初心者の私にとって、「草を抜かない」「耕さない」「虫を敵としない」ことは最初はとても不安でした。
でも今では、草の種類や伸び方から、土の状態を感じるのが楽しくなってきました。
変化はゆっくりですが、確実に訪れています。
それを教えてくれるのは、派手な成果ではなく、小さな草たちの存在なのかもしれません。
今年もこの畑で、草を観察しながら、自然と対話するような畑しごとを続けていきたいと思います。
たとえば、今日出会った雑草を図鑑で調べてみたり、草マルチとして刈った草を畝にかぶせてみたり、
そんな小さな一歩から自然農の楽しさは広がっていきます。
【観察メモ】雑草の種類で見る土の状態と畑の成長段階
雑草の種類 | よく見られる環境 | 土の特徴のヒント |
---|---|---|
セイタカアワダチソウ・ススキ・チガヤ | 放置された荒地・酸性土壌 | 土が固く、微生物環境が不安定 |
ホトケノザ・オオイヌノフグリ・ナズナ | 柔らかくなり始めた土・通気性あり | 微生物が増え始め、空気や水が通いやすくなったサイン |
スベリヒユ・アカザ・イヌビユ | 肥料が多い場所や耕作直後 | 養分はあるが、バランスが崩れやすい状態 |
※あくまで目安です。大切なのは、「草を通して土を感じる」という姿勢です。
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