「自分らしさって何だろう?」世界の知恵に学ぶ4つの視点
はじめに|“自分らしさ”を探している人へ
「自分らしく生きたい」。そんな言葉を、最近よく耳にします。
でも、ふと立ち止まると「自分らしさ」って何だろう?と迷うことはありませんか?
他人に合わせすぎて疲れてしまったり、過去の自分に縛られていたり、「本当の私はどこにいるんだろう」と思う瞬間は、誰にでもあるものです。
今回はそんな“私とは何か?”という根っこの問いを、世界の4つの知恵(宗教・哲学・神秘思想・科学)を通じて、一緒に考えてみたいと思います。
【1】ヒンドゥー教に学ぶ|今の私は、ほんとうの私?
ヒンドゥー教の教えによると、
私たちは本来 「アートマン(真の自己)」 という永遠不滅の魂だとされます。
けれど日々の暮らしでは、
「もっと頑張らなきゃ」「こうあるべき」といった思いにとらわれて、ついその本質を忘れてしまいがちです。
周りと比べたり、評価を気にしたり、自分に無理をさせているとき、
それは“本当の声”を見失っているサインかもしれません。
一口メモ
SNSを見て「私もちゃんとしなきゃ」と焦るとき、 あなたの“内なる声”は、今どこにありますか?
【2】哲学に学ぶ|「考えている私」って、ほんとうの私?
フランスの哲学者・デカルトはこう言いました。
「我思う、ゆえに我あり」
つまり、「私は考えている。だから私は存在する」。
思考することが“私”の存在証明になる、という考え方です。
ただ現代では、思考だけでなく 「感じること」「動くこと」「つながること」 など、
身体性や感情もまた、“自分らしさ”の一部と考えられています。
一口メモ
頭の中ではあれこれ考えていても、 実際に行動している“私”は、少し違う表情をしていませんか?
【3】スーフィズムに学ぶ|“自分”を忘れて夢中になるとき
スーフィズムは、イスラームの中に生まれた神秘思想です。
音楽・詩・旋舞(くるくる回る踊り)などを通じて、“自分という感覚”を超えて、神との一体感を体験しようとします。
その核心には、「ナフス(自我)」を超え、 「ルーフ(魂)」によって神に近づくという姿勢があります。
「私が神を愛している」ではなく、「神が私を通して現れている」ような感覚。
自己を超えた静けさと没入感の中に、“自然な私”が立ち現れるのです。
一口メモ
自分を忘れるほど夢中になれる瞬間。 そのとき現れている“あなた”こそ、もっとも自然なあなたかもしれません。
【4】科学に学ぶ|「私」は、記憶と経験が作ったストーリー?
意識や脳の研究では、
「自分」という感覚そのものが、 記憶や経験をもとに脳が構成した“物語”であるとする考え方もあります。
「私はこういう性格」「私は◯◯な人間だから無理」——
そうしたセルフイメージは、本当の自己なのでしょうか?
それとも、ただ信じ続けてきた“自己物語”かもしれません。
一口メモ
「私は◯◯な人間だから…」という思い込み、 それは本当に、あなた自身が選んだ言葉ですか?
おわりに|“私”を探す旅に、終わりはなくていい
宗教、哲学、神秘思想、科学。
異なる知の世界は、それぞれの角度から問いかけてきます。
「あなたが“自分”だと思っているその存在、 それは果たして、すべてのあなたを表しているのでしょうか?」
もしかすると、“自分らしさ”とは
「こうだ」と決めるものではなく、
日々の気づきの中で、少しずつ育まれていくものなのかもしれません。
遠くに何かを探しに行くのではなく、
“今ここ”にいる自分に、そっと目を向けてみる。
そんな気づきを求める旅を、これからも一緒に続けていけたら嬉しいです。
本日の問いかけ
あなたが「いちばん自分らしい」と感じるのは、どんな瞬間ですか?
次回予告
「本当の私」が少し見えてきたら、気になってくるのは「じゃあ、他の人はどうなの?」ということ。
次回は、人との違い、つながり、そして「他者との共存」をめぐる知恵をのぞいてみたいと思います。
誰かと向き合うことで、自分自身の新しい一面に気づけるかもしれません。
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